子ども日本語教室-中学生の部- “卒業進級を祝う会”を開催しました。

ニュース
日本語教室
小・中学生
2021年3月19日

今年度はコロナ感染防止として、密を避けるよう小学生と中学生の開催日を分けての開催でした。この会までに子どもたちは、一年間の日本語学習の成果を発表するため、来日当初のこと、母国との違い、日本や学校での生活などで感じたこと、考えたこととなど、様々な思いを作文に書きました。

 

3月13日(土)

 

まずは中学1年生から、順次発表していきました。

・来日前、親から挨拶と礼儀を教えてもらったが、日本で暮らすためには、中国人だけど、日本語を学ぶ必要があります。

・来日は小1の時、最初は日本に来てワクワクしていたけれど、学校で日本語がわからず、同級生と話すことがとても難しかった。頑張って日本語を学習し、友達が作れるようになり、勉強も頑張っている。

・10歳までアメリカで暮らし、この年の夏に来日。アメリカでは広い家に住み、犬も飼っていたが、日本に来てからはマンション暮らしで犬も飼えず寂しかった。今では、一人で電車に乗れ、買い物もできる。アメリカではこのような行動は危険で一人ではできない。

 

 

 

・陸上部に入り、入部当初は同級生の中で上位に入る速さで、ただ走るだけだと簡単に考えていた。いつしか、同級生に抜かれ、どうして速く走れるのか分からず、部活を休みがちになった。兄に相談したことから、自分自身のことを考え、自分の現状を頑張る、失敗はたくさんすれば良い!分からないことがあれば周りの大人や先生方に相談すれば良い!と、考え始めたそうです。また、失敗することは当たり前、怖がらず立ち向かうことが大事だと、皆へ力強く伝えていました。

 

    

 

・中学生で来日し、日本語を学ぶことで『謙虚』な心がとても大切だと強く感じました。『謙虚』な気持ちで教えを請うと、相手も親切丁寧に教えてくれる。そして、自分の不足している点を客観的に観ること。人生にとっても『謙虚』な心は大切で、これを知ったことで学ぶ意欲が湧いた。

・中学の思い出は、初めてのスキーや、合唱コンクールでクラスの全員が一生懸命に練習し、団結力が生まれたこと、鎌倉での校外学習では、日本文化が観られ、友達と買い物やアイスを食べたことが楽しかった。

・これまで3つの失敗をした。一つ目は、文章が読めても漢字が書けない、内容が理解できない。日本語学習を疎かにした。二つ目は、自分のことばかり考え、過ちに気づいても、謝らなかった。自分勝手で、みんなからの信頼を失った。みんなのことを考えないと自分をみてもらえない、おいて行かれる、それで学校へ行きたくなくなった。三つ目は、委員会で自分のことだけを考えているとうまくいかなかった。この失敗から、周り(先生、友達、親)のことを考え、人に頼る時と自分自身で頑張る時の切り替えをはっきりすることを覚えた。また、学校は社会のルールや常識を学ぶ場所。学生のうちに身につける。

・急に日本への来日が決まり、何もわからない日々が続き、自分を無能だと思った。自分の性格もあり、友達ができなかった。学校生活も楽しくなく、何もできなかった。高校へ行ったら、いろいろなことをやりたい。頑張りたい。

 

 

 

この会は毎年行われますが、昨年度は中止となり、卒業生も参加し、昨年度に贈られるはずの色紙を在校生から受け取りました。その他、高校ってどういうところか、進学した高校の様子などを話してくれました。

昨年度の卒業生から。。。

・来日前は音楽やダンスをやっていた。来日当初は『はい』しか言えず、不登校になった。何をどうすればいいかわからず、不安がいっぱいだった。いろんな事を考え、悩んでしまい、どんどん難しくなっていった。今では、来日して勉強しなかった事を後悔している。

在校生への贈る言葉。。。

どうにかなるから、心配しすぎはよくない。私は音楽科のある高校に進学し、ギターやボーカルを習っている。今日、自作の歌を披露するため、昨夜まで頑張った。まだ完成していないですが聴いて下さい。

 

会場は静まりかえり、卒業生の思いが詰まった歌声に耳を傾けました。

 

卒業生から。。。

高校がどういうところか?といっても学校によって違いがあります。

私が通っている高校は、一言でいえば自由。

自由と言っても、自分たちで計画、企画、運営まで考え、行動する。

いい大学に入ろうと勉強する人、キラキラ系の人など、いろいろな人がいます。

自分の好きなように過ごせたらいいなと思います。

 

発表後、在校生から卒業生へ色紙が渡され、笑いと涙に溢れました。

 

3年生、卒業生と来日してから様々な壁にぶつかり、失敗や悩み、葛藤を抱え、周囲の人たちに支えながら、自身を見つめ、考える力、一生懸命前に進む力を身につけ、大きく成長した姿を見せてくれました。

 

最後にボランティア全員から贈る言葉を伝え、会は終了しました。

 

今年度は4月当初からコロナ感染症の影響を受け、教室が休みとなり、再開にあたり感染防止対策の準備や、「卒業・進級を祝う会」開催にあたり子どもたちの準備をサポートしてくださったボランティアの皆様に深く感謝申し上げます。

来年度も新たな子どもたちが加わります。

引き続きご支援、ご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。