11月20日、第26回目となった 「日本語で話そう会」 を開催しました。
このイベントは、CIFAで日本語を学習する外国人10名前後が、自由なテーマで日本語で発表を行うものです。
発表の後は、来場者が発表した外国人と直接できる時間もあり、毎年大勢が参加し、好評を博しています。
昨年度は、新型コロナウィルス感染拡大状況が深刻であり、初の試みで会場(発表者と関係者のみ入場可)からオンライン配信を行う “ハイブリッド形式” で、毎年重ねてきた本イベントを途切らせることなく、開催することができました。
今年度については、実行委員会立ち上げ当初から、
外国人のスピーチを聞くには、臨場感が大切。対面に勝るものはない! 今年はコロナの様子を見ながら、対面で開催しよう、直接目で見て耳で聞いて、肌で感じてもらいたいと、企画が始まりましたが、開催に向けて、常にコロナ感染状況と隣り合わせで検討を重ねてきました。
当日は、会員、市民、発表者関係者等、総勢約75名が参加しました。
はじめは、都合で会場でスピーチすることが叶わなかった、アナスタシアさん(ウクライナ出身)のスピーチ動画の上映からスタートしました。
タイトルは「なぜ日本にいるのか」。ウクライナでは、幼少のころから、日本のアニメが好きで、空手を習うなど日本の文化に興味を持っていたというアナスタシアさん。大学で日本の研究を深め、実際に日本に来てさらにその研究を深めたいと、熱心に話してくれました。理由はわからないけれど、どうしても好きになるもの、自分にとってはそれが「日本」であったそうです。
そして、「異なる文化」と題し、日本と母国トルコのに違いと似ている点に
ついて、ファツマ カラクシュさんは、ユーモアを折りまぜ、来場者の心を掴んで話をしてくれました。
また毎回、子ども日本語教室に通う中学3年生が、高校入試を控え忙しい中、このイベントに参加してくれています。
今回は、7歳の時にフィリピンから来た、砂川ジャン君、また小学校6年生の時に中国から来た宗島愛康さんが発表しました。
ジャン君は、日本に来てからの楽かった学校生活や家族との思い出、また将来の夢についてしっかりと発表し、愛康さんは、故郷に馳せる想いを詩を交えて堂々と話してくれました。来日間もないころは、苦労や困難の多かった二人が、大勢の前で自分の考え、思いも伝えられたことは大きな自信に繋がることでしょう。彼らの将来が希望に満ちたものになるよう、会場全体が応援する空気に包まれました。
続いて、韓国出身で1年前に家族と来日したキムギヨンさんは、韓国の「キムジャン」(冬に1年分のキムチを作ること)について、皆が食べたくなってしまうように、わかりやすく丁寧に話しました。同じく韓国出身のムンセヒョンさんは、「韓国のお正月と日本のお正月の違い」について、きれいな写真を見せながら、話ました。韓国のトックンという白くて長いお餅と日本の年越しそばは、両方とも細くて長いので、「長生き」という同じ意味があることも教えてくれました。
中国出身のヨウレイさんは、「日本と中国の違い」について、衣食住に注目してそれぞれの観点から自分が発見した違いを紹介しました。中でも、中国ではおめでたいときには派手な色を好み、日本のフォーマルは黒や紺やグレーと地味な色がよしとされる対照的な例を教えてくれました。スーパーなどで売られている、「焼きそばパン」については、中国では絶対にあり得ない組み合わせだそうです。
最後、トリという大役を務めてくれたのは、中国出身のタンレンパンさんで、タイトルは、「雨の中の山登り」。
コロナ禍で自粛生活となり、小学生と幼稚園の二人のエネルギッシュな息子さんたちと、家族で山登りを始めたそうです。
今年の9月、雨の日に行った三頭山での思い出を話しました。強まる雨を前に心配が募る大人をよそに、子どもたちは雨を楽しみ、冒険のようだと喜び、しりもちをついてしまうことも家族で楽しんだエピソードが語られ、本当に仲のよい家族であることが伝わってきました。
全ての発表が終わり、電気通信大学の笠原教授から講評をいただきました。
笠原先生は、電気通信大学で留学生に日本語の講義をされており、CIFAでは、日本語ボランティア入門講座をはじめ、その後のボランティア向けの啓発講座等の講師を務めて頂いています。
講評では、発表者ひとりひとりに感想と心のこもったメッセージが贈られました。
その後、韓国、中国、トルコ、中学生の各ブースに発表者が立ち、母国を象徴するものや、スピーチで使用した写真を展示し、発表を聴きに来た方と歓談をしました。どのブースも、来場者が発表者へのねぎらいの言葉をかけ、和やかな雰囲気で交流を深めている様子が見られました。
コロナは私たちから人と人とが触れ合う貴重な時間や機会を奪ってしまいました。
それでも、2年ぶりに開催したこのイベントで、懐かしそうに談笑する会員の方や、外国人の方が母語で楽しそうに話をする姿、至るところで笑顔で笑い声が聞こえてくるのを目の当たりにすると、誰もがこのような、人と人の温かい繋がりを感じられる時を待っていたのかもしれないと感じます。
今後も感染対策を続けながら、皆が安全安心で楽しめるよう、事業に取り組んでまいります。
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