9月28日、調布市第4中学校の、オリンピック・パラリンピック教育の一環で実施する、「豊かな国際感覚を身につける」をテーマにした授業で、CIFAで日本語を学習する外国人5名が、立派にゲストティーチャーを務めました。
協会では、新型コロナウィルス感染拡大を受け、3月~5月は日本語教室を含む全ての事業を中止していました。6月15日より、徐々に日本語教室を再開していますが、従前に比べ、外国人学習者の数は6割程度に減少しています。
その中で、「母国のことを日本語で、大勢の生徒の前でプレゼンテーションを行い、生徒からの筋書きのない質問に日本語で答える」 という大きなミッションに挑戦できる外国人は多くはありません。
今回は、オンラインで日本語学習をするイエンスさん(デンマーク出身、電通大勤務)、グループ学習に通うデニスさん(ロシア出身、東京外国語大学生)、1:1学習をするケイトリンさん(スコットランド出身、英会話講師)、チャンさん(オーストラリア出身、英会話講師)、ヤームアさん(ラオス出身、電通大学生)の国際色豊かな5名が、大役を引き受けてくれました。
5名はそれぞれ、パワーポイントなどでプレゼンテーション資料を作成し、母国の地理、気候、観光地、建造物、文化、民族衣装、料理、スポーツ、有名人、流行などについて、美しい景色や、人々の様子を映した写真を見せながら、多岐にわたり日本語で一生懸命説明しました。慣れない日本語を声に出して、言葉で伝えることは容易ではありません。皆、何度も練習をして今日を迎えました。
ロシアのデニスさんは、広大な面積を誇るロシアの中でもモスクワよりもさらに北側にある、“サンクト ベテルブルグ” というロシア西部の都市出身です。白夜の時期に午後11時に撮影された煌々と明るく輝く美しい建物の写真が印象的でした。デニスさんは約2年前に来日し、大学とCIFA等で日本語を勉強しています。生徒からは、「日本語が上手でびっくりしました」と言われ、うれしそうな笑顔が見られました。
ケイトリンさんは、エジンバラなどのおすすめの観光地や、有名なハリーポッターについて話しました。生徒から、「日本と異なる習慣」について聞かれましたが、知られていないけれど、似ている習慣として、「スコットランドでも靴を脱いで家の中に入ること」を紹介しました。想像とは違っていて、生徒たちは驚いていました。通訳として同席された金澤さんは、ケイトリンさんが暗記して発表すると頑張っていたことに感心していました。
チャンさんは、オーストラリアの学校生活について、日本のみんなとの違いをユーモアを交え、話しました。夏休みに宿題がないことや生徒が学校の掃除をしないこと、給食がないこと、塾に行っている人がほとんどいないことは、日本の中学生からすると、うらやましい!と思ったかもしれません。食文化について、カンガルーの肉を食べることを紹介しましたが、生徒から、「どんな味? 何に似ていますか?」と聞かれ、「牛肉に近いです」と答えました。
ヤームアさんは、ラオスには大きく分けて3つの民族があり、それぞれが違う言語、文化を持つこと、小さな民族は50以上もあることを話しました。生徒たちは同じ国でこんなに多くの言語や文化が存在することに、驚きと戸惑いを感じていたようです。生徒から「ラオス人として誇りに思うことは何ですか?」という質問があがり、通訳として同行していた兄、ワムアさん(2010年来日)が、「ラオス人は、ほほえみ、やさしさが誇りです。やさしい国民だと思います」と答えてくれました。
イエンスさんは、デンマークの道路の使い方について、車・自転車・歩行者がそれぞれ違うゾーンを通行することを教えてくれました。また、社会福祉についてもふれ、税金が高い(デンマークは消費税25%)けれど、病院は無料、小学校から大学までが無料であることも紹介しました。
5名は、5時間目と6時間目の2コマ、緊張しながらも、懐かしい学校生活を思い出しながら、自分のふるさとを日本の中学生に知ってもらおうと、一生懸命話しました。
1年後に開催予定のTOKYO2020大会を控え、若い世代の人たちが、世界をより近く感じ、国際理解、多文化共生について考えるきっかけになったことでしょう。