毎年、大きな会場で、大勢の参加者を得て、盛大に開催してきた、
恒例の 「日本語で話そう会」。
今年は、コロナ禍において、実現可能なやり方を模索し、
“今年はオンラインで”をキャッチフレーズに、会場から、ライブ配信(ZOOm)を行う形となりました。
7月下旬に実行委員会を立ち上げ、コロナ禍においての開催の可否についての検討からはじめ、感染対策を徹底し安全安心を確保して開催するには、どのようなやり方が望ましいか、活発な意見交換が交わされ、安全安心を最優先にし、“オンライン”での開催、そして、発表者がこれまで通り、緊張感、臨場感を味わいつつ発表に挑める、の2つを同時に叶えられるよう、たづくり12階の大会議場から、ライブでZOOM配信する形で開催することになりました。
とはいっても、協会にとっても、実行委員会にとっても、全てが初の試み・・・。
世の中が、リモートワーク、オンライン会議、オンライン授業・・・etcを行う話を頻繁に耳にはするものの、ゼロからのスタートとなりました。
コロナウィルス感染拡大により日本語教室休止期間を経て、6月中旬から少しずつ再開した日本語教室には、現在成人クラス約100名、子ども教室約40名、だっこらっこくらぶ3名の外国人学習者が戻り、日々ボランティア一緒に学習に励んでいます。
今年は学習熱心な8名が、発表者として名乗りをあげてくれました。
今回の大役、司会を務められたのは実行委員長の吉村さんです。
CIFA日本語教室成人クラスの学習ボランティアとしても活躍中で、日本語部会長として日本語学習に携わるボランティアのリーダー的存在です。
発表者の緊張を和らげ、視聴者を温かく包み込むような語り口は、会場全体を和やかな雰囲気にしてくれます。
会場には発表者とその学習ボランティア、友人のみが入室し、例年広い会場が賑わう様子を思うと寂しい感じもありましたが、画面の向こうでは約50名の方が試聴されました。
まずは当日会場で発表することができなくなってしまった、アンゴラ出身のアンドレさんが、事前に収録したスピーチ動画が流されました。アンドレさんは民族衣装を身につけ、アフリカの地図を見せながら、アンゴラの文化や食べ物や家族について話しました。
トップバッターは、台湾出身のヤンさん。
母国台湾の魅力を、「赤、黄、緑」の色にたとえ、美しい写真を見せながら、話してくれました。日本でもおなじみの九扮(千と千尋の神隠しの舞台)、夜市や台湾カステラなど、台湾に行ってみたくなりました。台湾カステラは日本でも買えるそうです。
続いて、子ども日本語教室から、2名の中学生が発表しました。
ネパール出身のディワシさんは、ヤギや牛などと共に育った幼少時代、小学校5年生で来日してから、日本語という壁に苦労したこと、それでも日本語の勉強を頑張りたいと、堂々と話しました。発表後に、4か国語を話せるディワシさんに、“ありがとうございました。また会いましょう!”をそれぞれの言葉で言ってみてくださいと司会者からリクエストがありました。ヒンディー語、ネパール語、英語、そして日本語で笑顔で呼びかけてくれました。
フィリピン出身のトレーシーさんもまた、来日間もない時期に味わった不安と孤独について、それでも日本語がわかるようになったら、自分が明るくなってこれからはポジティブに考え、色々なことに挑戦していきたい、と抱負を語りました。
インドネシア出身のナスタシアさんは、お父様の出身地であるスンバ島の海、工芸品、家について紹介し、コロナが落ち着いたら是非遊びに行ってみてくださいと呼びかけました。
ロシア出身のデニスさんは、「家から遠く離れた知人に会うよろこび」というタイトルで、実体験を踏まえたかけがえのないよろこびについて話しました。
昨年に引き続き発表した中国出身のソウレイさんは、大学時代に経験した集団生活「軍訓」について、ユーモアを交えながら話し、昔を懐かしみつつも、「大切なのは今を大切にすること」と、信念を語ってくれました。
トリを務めたのは、スコットランド出身のケイトリンさんです。お母さまにもらったポスターの名言を大切に、やりたいことではなく、なりたい自分を意識し、将来の夢を真剣に考えていることをしっかりと話しました。
全ての発表終了後に、ご自宅から参加してくださった、当協会理事、電気通信大学名誉教授の池田先生から講評を頂きました。
「1年前にはこんな世の中になるとは、だれが想像したでしょうか?
今回初めてオンラインでの開催となりましたが、本当にできてよかったと思います。8名の発表者のスピーチはどれも素晴らしく自分の言葉でよく考えられたものだと思いました。
コロナ禍ではありますが、引き続きこれからも日本語の勉強を頑張ってください」と、賞賛とエールが贈られました。
会場内のスピーチをLIVEでZOOM配信という新しいスタイルで行いましたが、
舞台上で緊張しながらも、自分の思いを自分の言葉でしっかりと伝えようとする発表者の姿は、かわらず聞く人たちの心を動かし、感動を与えるものです。
言葉がわからないところで感じる孤独は、想像を超えるつらさがあることでしょう。
また、世界各国、どこであっても、皆、故郷を心から愛し大切にしているのだと感じます。
今日の発表という晴れ舞台を迎えるまで、担当のボランティアさんのサポートを仰ぎながら、原稿を推敲し練習を繰り返し、地道な努力を重ねました。
入会時には片言の日本語でCIFAの扉をたたいた学習者たちが、大勢の前で日本語でしっかりと発表するまでに成長する姿を見るのは、なんとも感慨深いものがあります。
発表された皆さん、ボランティアの皆さん、本イベント実行委員の皆さん、
おつかれさまでした。
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