4月13日(土)交流サロンイベント 元ラグビー日本代表 シナリ・ラトゥ氏が語る「トンガと日本」~ラグビーワールドカップ2019に向けて~ を開催しました。
募集人数を上回る186人の参加者で、満席の会場が熱気に包まれる中、当協会の瀧柳理事長の挨拶に続き、理事でソプラノ歌手である新藤昌子さんによる、トンガ国歌の独唱から講演会は始まりました。トンガに敬意を表し、参加者全員が起立して会場に響く国歌を聞きました。
いよいよシナリ・ラトゥさんの登壇です。ラトゥさんは、トンガ出身の元ラグビー日本代表選手です。日本のラグビー界における外国人選手の活躍の道を切り開いてきた人です。トンガと日本との交流、ラグビーの魅力などについて語っていただきました。
トンガは、南太平洋にある数多くの島々からなる国で、ニュージーランドの北、オーストラリアの東に位置し、サモア、フィジーでトライアングルを形成しているとの紹介がありました。国旗は赤と白の2色で日本と同じ色となっていて、左上の赤い十字はトンガ国民の100%がクリスチャンであることから使われているそうです。そのため、日曜日は絶対に働かないし、ラグビーの試合もしないとのことでした。
青い海、きれいなビーチ、ホエールウォッチング、潮吹き穴などの観光名所が映像で紹介されました。クジラは船から見るだけではなく、一緒に泳ぐこともできるとのこと。講演会のあとの感想でも、トンガに行ってみたくなったとの声が数多く寄せられました。
日本との交流のきっかけは、4世の国王が日本好きだったこと、そして6人が相撲部屋に入ったこととのお話がありました。全員が途中で廃業したそうですが、横綱になれたのではないかと残念そうでした。さらに、交流を深めたのが、そろばんだったとのお話がありました。ラトゥ氏が来日したのも、そろばん教育の勉強のためだったそうで、小さな子どもに一緒に学習するのが少し恥ずかしかったと照れていました。
そろばんを紹介した先生の縁もあり、大東文化大学に留学しラグビー部に入ったそうです。強くなりたいとの思いから練習方針を巡って、先輩とぶつかりながらも厳しい練習を続け、大学日本一になることができたと、当時の映像を流してくれました。外国人ということで苦労もしたけれども、何よりも言葉を覚えることが大切だと振り返られていました。
次は、代表です。学生時代に選出されましたが、そのときはトンガと日本のどちらを選ぶか悩み、日本代表にしたとのことでした。日本代表として、ワールドカップに第1回から3大会連続で出場をし、そのほか数多くの国際試合も経験したとのことです。
今年のワールドカップについても言及され。日本が予選を突破するには、アイルランドかスコットランドに勝つことが絶対条件、それでも前回のように3勝1敗で3チームが並ぶことがあるので厳しい。代表監督が初戦のロシアが強いと言っていたので、予選突破に向けて頑張って欲しい。また、トンガについては、予選プールに世界ランクベスト10の3チームが入っていて、突破するのは厳しいと話されていました。
その他、戦いの前のウォークライ、トンガではシピタウ、ニュージーランドではハカと呼ばれる儀式を映像で紹介するなど、世界のラグビーについても数多くのお話がありました。後に、会場からの質問を受けてくれました。第2回ワールドカップ予選で、母国トンガ代表と試合したときのことを聞かれ、複雑だった心境を語ってくれました。日本が勝利した試合の後に、トンガチームのホテルを訪れると、裏切者などの厳しい声で迎えられたそうです。ただ、監督からは、彼はこれからここ日本で生きていかなければならいのだ。だからプレーで頑張るのは当たり前だ。彼はよくやった。とみんなをなだめてくれたそうです。このときのことを思い出すと、今でも涙が出てしまうと言われ、大きな手で目頭を拭われていました。
また、最も印象に残る試合はとの質問には、日本代表としてスコットランド代表に勝利した試合を挙げられました。そのときほど、チームに一体感を覚えた試合はなかったからと、その理由も話してくれました。
その他にもいくつかの質問を受け講演は終了しました。
引続き、共催した調布市のオリンピック・パラリンピック担当部長から、今夏のラグビー国際試合のパブリックビューイングの案内などがありました。
最後に、今回の講演会でお世話になった太平洋諸島センターの斎藤所長から、センターの紹介とともに5月に予定しているイベントの告知がありました。
ラトゥさん、素敵なお話をありがとうございました。
運営スタッフのみなさんお疲れさまでした。