8月22日、東京都つながり創生財団主催の「多言語翻訳シミュレーション」(翻訳訓練)に、会員9名が参加しました。
本訓練は、毎年1回、災害時における多言語による情報発信のため、都内で広域的な相互協力のネットワーク構築を目指し、平時から翻訳の訓練を行うもので、毎年当センターも参加しています。
今回の想定は、「多摩地域の東部を震源域とする大地震」 という、わが街調布には、リアルな設定でした。
地震による、停電、断水、下水制限、インターネット普通、中央線など鉄道の運休、幹線道路の通行禁止、医療機関の閉鎖等、想定される影響も、住民の暮らしに直結する、現実的なものでした。
主催者側からの翻訳依頼文書は下記の2つでした。
①飲料水の提供・トイレの使用について
開設した避難所で毛布などの資器材やペットボトルの水等が提供されること、さらに、災害用トイレについて細かく説明する内容でした。
②災害時医療体制のお知らせ
災害発生から3日間は、緊急医療救護所といって、大きな病院に隣接して設置された救護所で治療等を行うこと、4日目以降が順次再開された医療機関に加え、避難所救護所といって、小学校等に巡回する医師が診察する形式となること、をお知らせするものでした。
どちらの文書も、まずは、日本語で正確に解釈し、必要な情報をどのようにわかりやすく伝えていくかを考えされられるものでした。
参加した英語7名は3つのグループに分かれ、やさしい日本語2名はペアになり、互いに協力し、アイディアを出しながら、翻訳を進めていきました。
「避難所に避難した人も、自宅に留まる人も、毛布などの資器材はもらえるという解釈でよいのか・・・?」
「給水車の水も、浄水器を通すのだろうか?」
「そもそも、災害トイレはどんなものか、知られているのか? 使用後に保管する、というのがピンとくるのだろうか?」
など、活発に疑問を共有したり、意見交換をしたり、
「建物の中で、治療を受けるなら in を使うけど、建物外の広場なら、on や around の方がよいのか・・・」
など使う単語や前置詞を慎重に選んで、翻訳作業を続け仕上げていきました。
参加した方からは、
「初めて参加しましたが、他の方の考えや意見を聞くことができ、進めるのはとてもよかったです。避難所の様子がわかったり、専門用語を知ることができて有意義でした。」
「今回は、翻訳アプリやCHATGPTを使用して、作業をしましたが、震災時にネットが使えなくなる可能性がとても高いと思う。ネットが使えれば、各自が作業可能なところで翻訳することができるが、このようにボランティアが集まって作業をすることの意味もあると感じました」
との感想が寄せられました。
また、今後、行政や社協とのスムーズな連携の早期構築が望まれるところだが、
「災害時はあらゆる混乱が想定されるから、あらかじめ必要となるであろう翻訳文書のフォーマットをいくつがあげ、平時から準備していくのがよいのではないか」 という、貴重なご意見もありました。
災害はいつ起きるかわかりません。
「備えあれば憂いなし」
今後も、災害時における情報の多言語発信を推進する取組みを続けていきます。